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「春のみなも」と「経営の嘘」の内輪話
 「物書き」春吉省吾には拘りがあります。つい最近までデザイナー・イベント設計などを生業としていたことから、本文の物語性というだけでなく、表紙や装丁、キャッチコピーや、目次前に記載した和歌や古文書などの引用は、物語に、より深みを与えたいという明確な意図をもって自分自身で作り上げます。
 ご存じのように「春のみなも」の上下には、古今和歌集から1首、金槐和歌集から3首、上下巻に2首ずつ掲載しています。この4首は、いずれも主人公「初」の心象を表現しています。そして「金槐和歌集」から3首引用しましたが、その作者、源実朝は鎌倉幕府三代目の征夷大将軍で、鶴岡八幡宮で暗殺された薄倖の武人です。源氏の将軍はそれによって途絶えてしまいます。初のもとを去り逝ってしまった男達の鎮魂歌という意味もあります。
 冒頭に出てくる上下各2首の和歌の意味合いを気付かずに、読者の多くは読み飛ばしてしまうかもしれませんが、一度読み終えて、再び開いたときに、この上下2首はより深い印象をもって味わって頂けると思っております。

漏らしわびぬ 信夫の奥の 山深み 木隠れてゆく 谷川の水
心の中を打ちあけられず、この胸は痛む。信夫の奥の山深く、
谷川の水が木の陰をひそかに流れていくように、人知れず恋をする私。             (金槐和歌集・春・四百三十七 源実朝)

 また、佐藤祥一名で上梓している「経営の嘘」の冊子裏表紙(カバー表紙の内側の表紙)には、面白いことが記載されています。そのまま転記してみましょう。

表紙の「五芒星」をかたどった「結定往生之秘印」は、安倍晴明が閻魔王より給わった「秘印」と伝えられている。京都真正極楽寺真如堂から受けた御札である。
日本の平安時代の陰陽師、安倍晴明は五行の象徴として、五芒星の紋を用いた。
印にこめられたその意味は、陰陽五行説、木・火・土・金・水の五つの元素の働きの相生・相克を表したものであり、五芒星はあらゆる魔除けの呪符として重宝された。
陰陽道というとおどろおどろしいが、仏教、儒教、道教と全てを統合した、宇宙のあらゆる動きが表現されている。
意志決定に迷ったら、本冊子に手を置いて、「神よ、仏よ、次はそちらの番だ」と叫んでもいいし、じっと沈思して心を落ち着けるのも良い。
それらのことは「呪術に凝る・現世利益を頼む」のではなく、「自分自身の思考の凝りを解き放つ」ためのものである。
◆ 尚、本書売上げの一部を、ご祈祷料としてお納めいたします。

 このように記載してあります。
 本来は、編集者のような方がいてコピーを作成するのでしょうが、編集者はいませんので、私自身が作っています。
 経営はもとより、一人一人の大事な意志決定は、拙著を読んだからと「はいそうですか」と言えるようなものではありません。理屈を越えた処に各自の行為があって、その結果はそれぞれ個々人が甘んじて享受しなければならないものです。だから、敢えて前述のような言葉を記載しました。事の本質を判っておいでのかたがたには、首肯頂けるものと確信しております。

 さて、朝の散歩兼トレーニングコースの途中、近くの神社にお参りをしていますが、2週間ほど前から、社殿の正面に「茅の輪」が設えられている神社があります。
6月の夏越(なごし)の大祓(おおはらい)です。
 身についた半年間の穢れを祓って、無病息災を祈るためで、社殿の前に設えた茅の輪を左まわり・右まわり・左まわりと、八の宇を書くように3度くぐり抜けます。
私は無邪気に楽しんでやっています。

 ギリシャから日本に帰化したラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が「神道には、哲学も、体系的な論理も、抽象的な教理もない。そのまさしく『ない』ことによって、西洋の宗教思想の侵略に対抗できた。神道は西洋の近代科学を喜んで迎え入れる一方で、西洋の宗教にたいしては頑強に抵抗する。これに戦いを挑んだ外人宗教家たちは、自分らの必死の努力が、空気のような謎めいた力によって、いつしか雲散霧消させられるのを見て茫然とする。それもそのはず西洋の最も優れた学者でさえ、神道が何であるか解き明かした者は一人もいない。(中略)
日本人の魂は、自然と人生を楽しく愛するという点で、誰の目にも明らかなほど古代ギリシャ人の精神に似通っている。この不思議な東洋の魂の一端を、私はいつしか理解できる日が、きっと来ると信じている。そしてその時こそ、古くは神の道と呼ばれたこの古代信仰の、今なお生きる巨大な力について、もう一度、語りたいと思う」 
 ハーンの素晴らしい把握力です。
 私にとっての「祓い」とは、「夏越の大祓」の様な機会を捉えて我欲、我見、執着心などの異心を祓い、自分自身の心と向き合って、おおらかな気持で日常を見つめ直すという類いのものです。つまり「経営の嘘」の裏表紙に記載したとおり「呪術に凝る・現世利益を頼む」のではなく、「自分自身の思考の凝りを解き放つ」ためのものです。そういう風にご理解ください。
春吉省吾 2016.6.23
紫陽花
紫陽花3
紫陽花2
紫陽花にも色々な種類がある。土の成分によっても色が変わる。もっちりとした紫陽花の風情はまさに、梅雨の風物である。ただ、残念なのは、散り際が汚い。 そこに「盛者必衰の理」や「諸行無常」の本質を捉える感性がほしいのだが、日本人の穢れの感覚と花に対する拘りがそれを妨げる。鎌倉のお寺では、枯れてしまう前にあじさいの花を摘んでしまうという。(写真は家の近くの散歩道)
茅の輪・代々木八幡
茅の輪くぐり いつも行く「代々木八幡」2016.6.20
東京オペラシティ
渋谷区と新宿区の境界です。右側が「東京オペラシティ」、新東京国立劇場はこの奥。2016.6.22
新宿中央公園
小雨の「新宿中央公園」さすがに、だれもいない。新宿のど真ん中の緑地。直ぐ西は都庁。今日から参議院の公示、道には選挙カーが走り回っていた。2016.6.22
熊野神社・新宿
中央公園の北側には「熊野神社」がある。大きい神社だが、「茅の輪くぐり」はなく、一寸残念。小雨の中、コースを変えて来たのに……。2016.6.22


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